夢日記 光るもの編
八月二十二日 夜
奥のほうから来た、緑
夢の中で、地面がすこしずつ透けていった。土のずっと下、岩のずっと奥、そこにひとつの緑があった。ペリドットは、そんなに深いところで生まれるんだって。地表の石とはちがう場所から来た子だから、なんだか、遠くの親戚に会ったみたいな気持ちになる。
その子を見ていたら、輪郭がふたつに見えた。線が一本のはずなのに、二本に分かれて見える。強い複屈折、というものらしい。ひとつの石なのに、光の通り方だけで、ふたつに見えてしまう。ぼくは思わず、自分の夏を思い出した。蛍石に決めたはずなのに、緑ばかり夢に見てしまう自分と、なんだか似ている気がして。
ペリドットには、あまり処理がないらしい。生まれたときのままの緑を、そのまま見せてくれる石。ごまかしがない、というのは、ちょっと羨ましい。ぼくは自分の気持ちにさえ、たまに靄をかけてしまうから。
黄緑というより、オリーブの緑。地味なようで、光の中に置くとちゃんと明るい。今夜はこの子の名前だけ、そっと覚えておく。乗り換えた、とはまだ言わないけれど。
今日のところは、ここまで。