夢日記 光るもの編
八月十二日 夜
見えない糸に引かれて
夜の底で、黒い石が静かに集まってきた。ひとつ、またひとつ。角がきれいに揃った八面体で、磁鉄鉱というらしい。図鑑にはっきり書いてあった、「磁石にはっきりつく黒い石」。夢の中でそれを見て、ぼくはなんだか納得してしまった。名前のままの石って、すこし律儀で、すこし可愛い。
夢の中では、石と石のあいだに見えない糸が張ってあるみたいだった。引っぱっているのか、引っぱられているのか分からないくらい、すっと吸い寄せられていく。磁石が要らないくらい、石自身が磁石みたいだった。天然の石でいちばん強い引力を持っているんだって。そう思うと、あの静かな集まり方にも、ちゃんと理由があったんだなと分かる。
似た黒い石にヘマタイトというのがいて、見分け方は磁石と、あと粉にしたときの色なんだそうだ。夢の中の磁鉄鉱は迷わず糸を伸ばしていたから、きっと本物だったんだろう。夢の中でくらい、そのくらいの見分けは許してほしい。
黒はただの黒じゃなくて、鉄の黒、褐色の混じった黒。光らない石なのに、なぜか目が離せなかった。引き寄せる力そのものが、静かな光みたいに見えたのかもしれない。
今日のところは、ここまで。