夢日記 光るもの編
十月三日 夜
何色に光るか、まだ決まらない
また、この石の夢を見た。霰石。前に見たときは、方解石と同じ材料なのに形だけが違う、そのことばかり考えていた気がする。花束みたいな針の束と、六角に見えて実は三つ子の結晶。あの不思議さは、今も変わらず好きだ。
今夜気になったのは、べつのところだった。紫外線を当てると光るらしいのだけど、資料によって赤だったり、黄だったり、緑だったり、青白かったりする。同じ石の名前なのに、答えが一つに決まらない。ぼくはてっきり、石の色みたいに「この石はこの色」と決まっているものだと思っていた。でも霰石の光は、個体によって違う声で歌うみたいだ。
図鑑はいつも、ひとつの正しい答えを教えてくれる場所だと思っていた。でも今夜の夢の中では、図鑑自体が「幅があります」と、ちょっと困ったように笑っていた気がする。その困り方が、なんだかやさしかった。決まらないことを、決まらないまま書いてくれるのも、誠実さのひとつなのかもしれない。
方解石と同じ材料でできているのに形が違う石が、今度は同じ名前を持ちながら光る色も定まらない。霰石は、二重に「決めない」石なんだと思う。ぼくの夢の中の霰石も、昨夜と今夜で、少し違う色をしていた気がする。それでいいのかもしれない。
今日のところは、ここまで。